ネット銀行の住宅ローンは危ない?5年・125%ルールと金利上昇リスクを解説

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「ネット銀行の住宅ローンは低金利だけれど、銀行の判断で金利を上げられる」「125%ルールがないので、返済額が急増する」――そんな話を聞くと、不安になりますね。

結論からいうと、ネット銀行だから一律に危険というわけではありません。ただし、金利の決め方と返済額の見直し方法は、銀行や商品によって違います。

PayPay銀行やソニー銀行には5年ルール・125%ルールがありません。一方、auじぶん銀行やドコモSMTBネット銀行には、変動金利・元利均等返済など、対象となる契約で両ルールがあります。

そして、特に誤解しやすいのが、125%ルールの意味です。金利や利息の増加を抑える仕組みではなく、最初の返済額の125%が完済まで上限になるわけでもありません。

返済額を増やす必要があれば、5年ごとの見直しで、その直前の返済額の125%まで段階的に上がる可能性があります。

この記事では、住宅ローン金利の仕組みと、ネット銀行を選ぶ前に確認したいポイントを整理します。

※2026年10月22日確認。主に一般的な住宅ローンを扱います。同じ銀行でも商品・契約時期・返済方法によって条件が異なるため、最終的には契約書と商品説明書を確認してください。

ネット銀行には125%ルールがない?銀行によって異なる

まず、今回取り上げる銀行の違いを見てみましょう。

銀行 変動金利の基準金利の決め方 5年ルール 125%ルール
PayPay銀行 市場環境などを勘案して独自に決定 なし なし
ソニー銀行 資金調達コスト・営業コスト・収益などを勘案して決定 なし なし
auじぶん銀行 市場金利をもとに調達コスト・営業コスト・収益などを勘案して独自に決定 あり※ あり※
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行) 自行の短期プライムレートに連動 あり※ あり※

※両ルールは変動金利・元利均等返済などの対象契約に適用されます。元金均等返済、固定金利からの切り替え、一部繰上返済に伴う再計算などは、適用の有無や扱いが異なります。表は各行の代表的な住宅ローンの整理であり、提携ローンなどすべての商品を網羅するものではありません。

つまり、「ネット銀行には125%ルールがない」という説明は不正確です。銀行名だけで判断せず、自分が契約する商品の条件を確認する必要があります。

125%ルールとは?返済額の増加を1回の見直しにつき25%以内に抑える仕組み

125%ルールとは、対象となる住宅ローンで返済額を見直す際に、新しい返済額を、直前の返済額の125%以内に抑える仕組みです。

毎月の返済額が10万円なら、次の見直し時の上限は12万5,000円です。

ここでいう「125%」は、「125%値上げする」という意味ではありません。**今までの金額の1.25倍にする、つまり増加率は最大25%**という意味です。

ただし、125%ルールが制限するのは、通常の返済額見直し時の増加幅です。金利そのものや、総返済額の増加率を制限するものではありません。

5年ごとに125%まで上がり続けることはある?基準は「直前の返済額」

はい。再計算の結果、返済額を増やす必要があれば、その後の5年ごとの見直しでも、直前の返済額の125%まで上がる可能性があります。

最初に月10万円で借りたからといって、完済まで月12万5,000円が上限になるわけではありません。

例えば、毎回の見直しで上限まで増えると仮定すると、次のようになります。

見直しの時点 毎月の返済額 上限の計算 当初との比較
当初 10万円 ― 1.00倍
5年後 12万5,000円 10万円×1.25 1.25倍
10年後 15万6,250円 12万5,000円×1.25 約1.56倍
15年後 約19万5,313円 15万6,250円×1.25 約1.95倍

※125%ルールの仕組みを示す仮定の計算で、金利や返済額の将来予測ではありません。実際の見直し時期は銀行所定の基準日に従い、借入日からちょうど5年後とは限りません。端数処理も商品によって異なります。

このように、1回ごとの増加が25%以内でも、何度か重なると、当初より大きな金額になります。

必ず5年ごとに25%増えるわけではない

125%は、あくまで返済額を引き上げる場合の上限です。

実際には、その時点の適用金利・ローン残高・残りの返済期間などをもとに返済額を再計算します。計算結果によっては増加が25%未満に収まったり、金利低下などによって返済額が減ったりすることもあります。

例えば、直前の返済額が10万円で、再計算した返済額が11万円なら、上限の12万5,000円まで引き上げるという意味ではありません。

また、見直し時点で新たな利上げがなくても、それ以前の金利上昇によって返済の繰り延べが生じていれば、再計算時に返済額が増える場合があります。

「銀行が5年ごとに自由に25%ずつ値上げできる」というより、契約に沿った再計算で必要となった増額を、1回につき25%以内に抑える仕組みと理解するとわかりやすいでしょう。

5年ルールとは?返済額は変わらなくても利息は増える

5年ルールは、対象となる変動金利・元利均等返済の住宅ローンで、原則として一定の5年間、毎月の返済額を据え置く仕組みです。実際の見直し日は銀行所定の基準日に従うため、借入日からちょうど5年後とは限りません。

ここで区別したいのは、「金利の見直し」と「返済額の見直し」です。

5年ルールがあっても、適用金利は契約に従って見直されます。金利が上がると、毎月の返済額の中で利息が占める割合が増え、その分だけ元金の返済が減ります。

以下は仕組みを示す架空の例です。

毎月10万円を返す場合 元金の返済 利息 合計
金利上昇前 7万円 3万円 10万円
金利上昇後 5万円 5万円 10万円

家計から出ていく金額は同じでも、借金が減るスピードは遅くなっています。

さらに、金利が大幅に上がって毎月の利息が返済額を超えると、未払利息が発生する商品もあります。契約によっては、返済期間の最後に元金や未払利息が残り、最終回にまとめて返す必要が生じます。

5年ルールは返済額を見直す時期を、125%ルールは見直し時の増加幅を調整する仕組みです。どちらも、増えた利息を免除するものではありません。

金利上昇リスクそのものを抑えたい場合は、全期間固定金利などとの比較も必要です。月々の支出が当面変わらないことと、将来の負担が増えないことは分けて考えましょう。

住宅ローン金利は何で決まる?基準金利と優遇幅を分けて考える

住宅ローンの適用金利は、一般的に次のように決まります。

適用金利=基準金利-引下げ幅(優遇幅)+必要な上乗せ金利

例えば、基準金利が年3.0%、優遇幅が年2.0%なら、適用金利は年1.0%です。団体信用生命保険の保障内容や借入条件などによって、さらに金利が上乗せされる場合があります。

変動金利は短期金利や銀行の調達コストなどの影響を受ける

変動金利は、日銀の政策金利や短期市場金利、銀行の資金調達コストなどの影響を受けます。

ただし、日銀が0.25ポイント利上げしたら、すべての住宅ローン金利も同じ時期に0.25ポイント上がる、という共通ルールはありません。

どの指標に連動するか、いつ金利を見直すか、いつ返済に反映されるかは契約によって異なります。

固定金利は長期金利などの影響を受ける

新規借入時などの固定金利は、長期金利や金利スワップ市場などの影響を受けます。将来の利上げ予想を織り込み、日銀の実際の利上げより先に上がることもあります。

全期間固定金利は、契約で定めた金利が原則として完済まで続きます。一方、10年固定などの固定期間選択型は、期間が終わった後の金利まで保証するものではありません。

新規募集金利と、借入済みの人の金利は別

銀行のサイトで新規向け金利が上がっていても、その理由が新規契約者向けの優遇幅の縮小なら、既存契約者の金利が同じだけ上がるとは限りません。

反対に、既存契約に適用される基準金利が上がれば、契約に従って借入済みの人の金利にも反映されます。

「金利が上がった」というニュースを見るときは、基準金利が上がったのか、新規向けの優遇条件が変わったのかを確認しましょう。

ネット銀行は金利を自由に上げられる?「独自基準」の意味

独自基準の銀行では、住宅ローンの基準金利を決める際に、複数のコストや収益を考慮します。

例えばソニー銀行は、資金調達コスト・営業コスト・収益を加味して基準金利を決め、主な変動要因となる資金コストは、銀行間金利や国債利回りなどの動向と連動すると説明しています。

auじぶん銀行も、市場金利をもとに資金調達コスト・事務や営業のコスト・収益などを勘案して独自に判断するとしています。PayPay銀行は、市場環境などを勘案して原則毎月決定すると説明しています。

そのため、独自基準には、借り手が政策金利だけを見て将来の上昇幅を予測しにくいという面があります。

ただし、独自基準だからという理由だけで、「市場を無視して際限なく上げられる」「必ず他行より大きく上がる」とまではいえません。既存契約への金利反映は、各商品の契約に定める見直し方法に従います。

また、「市場金利以上に上がった」という比較にも注意が必要です。政策金利、短期市場金利、長期金利は別の指標で、比較する期間や反映の時期によっても上昇幅は変わります。

短期プライムレート連動なら安心?短プラも銀行が決める

短期プライムレートは、銀行が信用力の高い企業などに短期融資を行う際の基準となる金利です。

三菱UFJ銀行は、住宅ローンの変動金利の基準金利を、同行所定の短期プライムレートをもとに決定すると説明しています。ドコモSMTBネット銀行も、対象商品の基準金利は自行の短期プライムレートの変動と同じ幅で動くとしています。

ただし、短期プライムレートは国が全国一律に決めている金利ではありません。

ドコモSMTBネット銀行の説明でも、自行の短プラは市場からの調達金利に、調達・事務・運用のコストや収益などを勘案して決めるとされています。

短プラ連動には、連動する指標と変更幅の関係を確認しやすい面があります。それでも金利上昇のリスクは残ります。

125%ルールがないと返済額はどれくらい増える?

以下は、借入残高5,000万円、残り35年、元利均等返済、ボーナス返済なしとし、それぞれの金利で完済まで均等に返す場合の概算です。

金利(年率) 毎月の返済額 年0.5%の場合との差
0.5% 約12万9,800円 ―
1.5% 約15万3,100円 約2万3,300円増
2.5% 約17万8,700円 約4万8,900円増
3.5% 約20万6,600円 約7万6,900円増

※特定銀行の現在の募集金利や将来予測ではありません。比較のため残高と残存期間を同じにした試算です。実際の返済額は、金利変更時の残高・残存期間・端数処理などで異なります。手数料等は含みません。

両ルールがない商品では、金利変更に応じて返済額が見直されるため、家計への影響が早く表れます。

両ルールがある商品では、当面の支出増加を抑えられる一方で、元金の減り方や将来の返済負担に影響が出ます。

比較する際は、毎月の返済額に加え、数年後の残高や総返済額も見る必要があります。

ネット銀行と店舗型銀行の違いは?確認したいのは商品条件

ネット銀行はオンライン中心、店舗型銀行は窓口相談を利用しやすい傾向があります。ただし、ネット銀行にも対面相談窓口や代理店があり、店舗型銀行にもネット完結の商品があります。

住宅ローンでは、次の項目をそろえて比較する方が実用的です。

比較項目 確認する内容
金利 基準金利の決定方法、優遇幅、その維持条件
返済額 5年・125%ルールの有無と例外
初期費用 事務手数料、保証料、登記費用など
団信 保障内容、支払条件、金利上乗せ
金利優遇 給与受取、通信契約などの条件と終了時の扱い
将来の変更 固定金利への変更条件、繰上返済や完済の費用
相談体制 返済が厳しくなったときの相談窓口

特に、低金利だから初期費用も安いとは限りません。

例えばauじぶん銀行では、通常の住宅ローンに借入金額の2.20%(税込)の事務手数料がかかります。5,000万円なら110万円です。短期間の利用では、利息の差と初期費用の差を合わせて比較しましょう。

「数年で売るなら大丈夫」と考えてよい?

保有期間が短ければ、長期間借り続ける場合より金利変動にさらされる期間は短くなります。

しかし、売る予定があることと、希望する時期・価格で売れることは別です。

  • 金利上昇で買い手の借入可能額が減る可能性がある
  • 売却価格がローン残高を下回る可能性がある
  • 売却に時間がかかる間も、返済や管理費などが続く
  • 購入時の手数料や売却費用を、短期間では回収できない場合がある

また、5年ルールで月々の返済額が据え置かれていても、利息が増えて元金の返済が遅れていれば、売却時に返すべきローン残高は、その分多く残ります。

高収入でも、借入額が大きく、手元資金が少なければ余裕があるとは限りません。「都心だから売れる」「数年で住み替えるから問題ない」と決めつけず、売れずに住み続ける場合も返済できるか確認したいところです。

よくある疑問

125%ルールがあれば返済額は最大でも1.25倍?

1回の通常の見直しでは、直前の返済額の1.25倍が上限です。ただし、次の見直しでは、そのときの返済額が基準になります。当初の返済額に対する上限ではありません。

5年ルールがあれば最初の5年間は金利も変わらない?

金利は契約に従って見直されます。据え置かれるのは原則として毎月の返済額で、金利が上がると利息の割合が増え、元金の返済が遅くなります。

125%ルールがない銀行は避けた方がよい?

毎月の返済額が変わりやすい点には注意が必要ですが、その有無だけでは判断できません。適用金利、手数料、団信、手元資金などを含めて比較しましょう。ルールがある商品にも、将来の返済額増加や残高の繰り延べという注意点があります。

ネット銀行の住宅ローンを選ぶ前に確認したいこと

ネット銀行という分類だけで、住宅ローンの危険度は決まりません。

注意したいのは、低い当初金利を前提に借入額を限界まで増やし、金利の見直し方法や返済額の変化を確認していないケースです。

契約前には、少なくとも次の点を確認しましょう。

  1. 基準金利は何をもとに決まり、いつ見直されるか
  2. 自分の契約に5年・125%ルールがあるか
  3. 適用金利が今より1・2ポイント上がった場合に返済できるか
  4. 5年後だけでなく、その次の見直しで返済額が増えても対応できるか
  5. 返済額が据え置かれた場合、元金残高はどう変わるか
  6. 手数料・団信・優遇条件を含めて比較したか
  7. 売却や借り換えが予定どおりできなくても、手元資金で対応できるか

125%ルールがあっても、返済額は5年ごとの見直しで段階的に上がる可能性があります。

目先の返済額だけでなく、10年後、15年後に教育費や生活費が増えたときも返せるか、売却できず住み続ける場合も対応できるかを考えておきたいところです。

ネット銀行か店舗型銀行かという分類よりも、契約の仕組みを理解し、金利が変わっても返済を続けられる借入額にすることが大切です。

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