築50年の中古マンションを買って大丈夫?築70年まで住めるのか、ローン・耐震・配管問題を考える

投資

マンション価格の高騰が続き、新築マンションはもちろん、築浅の中古マンションにも簡単には手が届かなくなっています。

そこで注目されているのが、築40年、築50年といった「築古マンション」です。

立地がよい割に価格が安く、室内をリノベーションした物件を見ると、新築マンションとそれほど変わらないようにも見えます。

しかし、築50年のマンションを購入して20年間住めば、築70年です。

本当にそんなに長く住めるのでしょうか。

内装だけをきれいにしても、建物の構造、配管、エレベーター、防水設備まで新しくなるわけではありません。

築古マンションは、本当に賢い選択なのでしょうか。

※この記事では、主に鉄筋コンクリート造の分譲マンションについて考えます。

築50年のマンションは今後珍しくなくなる

築古マンションの問題は、一部の特殊な物件だけの話ではありません。

国土交通省によると、築40年以上のマンションは2024年末時点で約148万戸あり、2034年末には約293万戸に増えると推計されています。

今後は築50年、築60年のマンションが市場に出回ることも、ごく普通になっていくでしょう。

ただし、「数が増えること」と「安心して購入できること」は別問題です。

築50年でも物理的には住める

鉄筋コンクリート造の建物は、築50年になったから突然住めなくなるわけではありません。

実際、URには管理開始から50年以上経過し、現在も使われている団地が多数あります。

国土交通省のモデル事業では、1981年に完成した「四谷ガーデニア」が、コンクリートの健全性を確認したうえで、耐震補強や給排水管更新を進め、「100年マンション」を目指す事例として紹介されています。

したがって、

「築70年のマンションには絶対に住めない」

ということではありません。

ただし、これは適切な診断、耐震補強、配管更新、修繕計画、十分な資金、住民の合意がそろっているマンションの話です。

何もせずに70年間もつという意味ではありません。

神社仏閣が何百年も残っている話とは違う

古い建物の話になると、神社や寺は数百年残っているという意見が出ることがあります。

しかし、神社仏閣も屋根、柱、壁、基礎などを何度も大規模に修理し、場合によっては部材を交換しています。

しかも、分譲マンションのように数十人、数百人の所有者から合意を得る必要もありません。

マンションは建物であると同時に、多数の所有者による共同事業です。

建物そのものが修理可能でも、管理組合がお金を集められない、工事への合意が得られないという理由で修繕できないことがあります。

築古マンションで本当に怖いのは、築年数だけではなく「建物と管理組合の両方が老朽化すること」です。

耐震性は大丈夫なのか

築50年のマンションで最初に確認したいのが耐震性です。

新耐震基準が適用されるのは、原則として1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物です。

それ以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、現在求められる耐震性能を満たしていない可能性があります。国土交通省も、旧耐震マンションについては、耐震診断などにより新耐震基準と同程度の性能が確認されているか調べるよう案内しています。

注意したいのは、完成年月だけでは判断できないことです。

1981年や1982年に完成したマンションでも、建築確認を受けた時期によっては旧耐震の場合があります。

旧耐震だから直ちに危険とは限りませんが、少なくとも次の資料は必要です。

  • 耐震診断の結果
  • 耐震補強工事の実施記録
  • 建築確認日
  • 構造計算書や設計図書
  • コンクリートの劣化調査結果

「これまで地震で壊れなかったから大丈夫」という説明は、耐震性の証明にはなりません。

配管は交換できないのか

室内の壁紙、床、キッチン、浴室はリフォームできます。

しかし、問題は壁や床の中を通っている給排水管です。

マンションの配管には、各住戸が所有する専有部分と、住民全員で所有する共用部分があります。

専有部分だけ新しくしても、建物全体を通る立て管などが古いままなら、漏水や赤水、詰まりなどのリスクは残ります。

一方で、「古いマンションの配管は絶対に交換できない」というわけでもありません。

国土交通省の長期修繕計画ガイドラインでも、共用部分と専有部分の給排水管を一体的に交換する方法が示されています。

問題は、交換できる構造になっているか、そして管理組合が工事を決議し、費用を負担できるかです。

古いマンションでは、排水管が下の階の天井裏を通る「スラブ下配管」や、コンクリートに埋め込まれた配管もあります。

こうした構造では工事が難しくなり、他の住戸への立ち入りや床・天井の解体が必要になることもあります。

リノベーション済み物件を見るときは、室内の美しさよりも、次の点を確認すべきです。

  • 共用給排水管を最後に交換した時期
  • 更生工事だけか、配管そのものを更新したのか
  • 専有部分の配管交換範囲
  • 床下配管かスラブ下配管か
  • 今後の配管更新が長期修繕計画に含まれているか

見た目が新築同様でも、見えない部分まで新しくなっているとは限りません。

築50年でも住宅ローンは通るのか

築50年だから住宅ローンが一切利用できないわけではありません。

住宅金融支援機構の「フラット35」は、築年数が古い中古住宅でも利用可能としています。

ただし、旧耐震の住宅では耐震評価基準などの確認が必要で、物件検査を受けて適合証明書を取得しなければならない場合があります。

一方、民間金融機関では対応が異なります。

購入者の年収や勤務先に問題がなくても、物件の担保価値が低いと判断されれば、

  • 借入期間を短くされる
  • 頭金を多く求められる
  • 希望額まで借りられない
  • 住宅ローン自体を断られる

といった可能性があります。

自分が購入するときにローンが通っても、将来売却するときに次の購入者がローンを組めるとは限りません。

築古マンションでは「今買えるか」だけでなく、「10年後、20年後に他人が買えるか」まで考える必要があります。

建て替えを期待して買うのは危険

古くなったら建て替えればよいと思うかもしれません。

しかし、マンションの建て替えは簡単ではありません。

国土交通省によると、マンションの建て替え実績は2025年3月末までの累計で323件、約2万6,000戸にとどまっています。

全国に存在するマンションの戸数を考えると、建て替えは決して一般的な出口ではありません。

建て替えには所有者の合意だけでなく、建築費の負担、仮住まい、高齢所有者への対応など多くの問題があります。

容積率に余裕があり、建て替え後に増えた住戸を販売して費用をまかなえるマンションなら可能性はあります。

反対に、すでに容積率を使い切っているマンションでは、所有者に数千万円単位の追加負担が生じることも考えられます。

「いずれ建て替わって新築になるかもしれない」という期待だけで購入するのは危険です。

築50年のマンションを買って20年住めるのか

物理的に住める可能性はあります。

しかし、20年間安心して住めるかどうかは、購入時点では誰にも断言できません。

築50年から築70年までの間には、次のような工事が重なる可能性があります。

  • 給排水管の全面更新
  • エレベーターの更新
  • 屋上防水や外壁修繕
  • 窓や玄関扉の交換
  • 電気設備や消防設備の更新
  • 耐震補強
  • 機械式駐車場の更新または撤去

修繕積立金が不足すれば、積立金の大幅値上げや一時金の徴収が行われます。

価格が安いから購入したのに、毎月の修繕積立金が上がり、さらに数百万円の一時金を求められれば、結局は安い買い物ではありません。

私なら築50年、築70年の物件を買うか

私なら、一般的な築50年のマンションを終の住みかとしては買いません。

ましてや、購入時点ですでに築70年のマンションは、原則として選ばないと思います。

建物が明日にでも壊れると思っているからではありません。

耐震性、配管、修繕積立金、管理組合、住宅ローン、将来の売却という複数のリスクを、個人がまとめて引き受けることになるからです。

ただし、築50年でも、次の条件をすべて満たすなら検討の余地はあります。

  • 耐震診断済みで必要な補強も実施済み
  • コンクリートの健全性が確認されている
  • 共用給排水管が更新済み
  • 長期修繕計画が定期的に見直されている
  • 修繕積立金が十分にある
  • 滞納者が少ない
  • 総会議事録や修繕履歴を確認できる
  • 土地の持分価値が高い
  • 住宅ローンを利用しなくても無理なく買える
  • 将来ほとんど値段が付かなくても困らない
  • 同条件の築浅物件より十分に安い

ここまで調べるなら、単に中古マンションを買うというより、建物と管理組合を精査する投資に近くなります。

リノベーションされた室内を見て、その場の印象だけで購入する物件ではありません。

築古しか買えないなら、賃貸しかないのか

新築も築浅も高い。築古は不安。それなら一生賃貸しかないのか。

そう考えると、確かに絶望的な気持ちになります。

しかし、選択肢は「高額な新築」「危険な築古」「一生賃貸」の三つだけではありません。

  • 専有面積を少し小さくする
  • 駅からの距離を広げる
  • 都心から少し離れる
  • 築20~35年程度まで候補を広げる
  • 管理状態のよい団地型マンションを探す
  • 数年間賃貸で待ちながら頭金を増やす
  • 高齢期に必要な広さや立地を改めて考える

といった調整もできます。

賃貸を選ぶことも敗北ではありません。

築古マンションの修繕費、建て替え、売却できないリスクを大家側に持ってもらう代わりに家賃を払う、と考えることもできます。

「家賃を払うのはもったいない」という理由だけで、売ることも直すことも難しい築古マンションを買ってしまう方が、結果的に高くつく可能性があります。

まとめ

築50年のマンションでも、適切に管理・修繕されていれば、築70年まで住める可能性はあります。

実際に長期間使われている集合住宅や、100年利用を目指すマンションも存在します。

しかし、それは放っておいても70年、100年もつという話ではありません。

建物の状態を調査し、配管や設備を更新し、所有者が費用を負担し続けて初めて可能になります。

私なら、「室内がきれい」「都心なのに安い」という理由だけでは築50年のマンションを買いません。

築古マンションは安い住宅ではなく、将来の修繕費と売却リスクが価格から差し引かれている住宅です。

そのリスクまで理解し、最悪の場合は価値が大きく下がっても困らない人にとっては選択肢になります。

反対に、長期間の住宅ローンを組み、老後まで安心して暮らせる終の住みかを求める人には、相当慎重な判断が必要です。

住宅価格が高いからといって、無理に何かを買わなければならないわけではありません。

買わずに賃貸で暮らすことも、条件を変えて別の物件を探すことも、立派な住宅戦略です。

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