アメリカの航空業界に衝撃が走りました。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOがデルタ航空のエド・バスティアンCEOに対し、両社の合併を打診していたことが明らかになりました。
もちろん現時点で合併は実現しておらず、正式な交渉にも発展していません。
しかし、「アメリカ航空業界の二大巨頭が統合を検討した」という事実だけでも非常にインパクトがあります。
今回は、
- 合併を持ち掛けたのはどちらなのか
- 実現の可能性
- 合併した場合のアメリカ航空業界への影響
- 日本路線への影響
- なぜこのような話が出てきたのか
について考察していきます。
合併を持ち掛けたのはユナイテッド航空だった
今回の報道で最も重要なポイントは、
デルタ航空がユナイテッド航空を買収しようとしたわけではない
ということです。
WSJによれば、
ユナイテッド航空CEOのスコット・カービー氏がデルタ航空CEOのエド・バスティアン氏へ統合を提案したとされています。
さらに報道では、ユナイテッド航空はデルタ航空だけでなく、アメリカン航空にも統合の可能性を探っていたとされており、業界再編にかなり積極的だったことがうかがえます。
なぜユナイテッド航空は合併を考えたのか?
ここ数年、ユナイテッド航空は急速に業績を伸ばしています。
新型コロナ後には大型機を大量発注し、国際線ネットワークも急拡大。
一方で、デルタ航空は利益率やブランド力、顧客満足度などでアメリカ航空業界トップクラスを維持しています。
もし両社が統合すれば、
- 世界最大級の路線ネットワーク
- 圧倒的な機材数
- 巨大なマイレージ会員基盤
を持つ航空会社が誕生します。
ユナイテッド航空としては、世界一の航空会社を目指すという狙いがあったのかもしれません。
実現する可能性はあるのか?
結論から言えば、
現時点では実現する可能性はかなり低いと考えられます。
理由① 独占禁止法の壁
最大の理由はアメリカの独占禁止法です。
デルタ航空とユナイテッド航空はともに全米トップクラスの航空会社。
もし統合すれば、
- ニューヨーク
- シカゴ
- サンフランシスコ
- ロサンゼルス
- ワシントンD.C.
- デンバー
など主要都市で非常に高いシェアを持つことになります。
近年でもJetBlueによるSpirit航空買収が競争上の問題から認められなかったことを考えると、デルタとユナイテッドの統合はさらにハードルが高いでしょう。
理由② デルタ航空側にメリットが少ない
デルタ航空は現在、
- 利益率
- 定時運航率
- ブランド評価
などで非常に高い評価を受けています。
経営も安定しており、
無理に他社と統合する必要性はそれほど高くありません。
むしろ巨大企業になることで規制や統合作業の負担が増えるデメリットの方が大きいでしょう。
理由③ 統合作業は想像以上に大変
航空会社の合併は会社同士をくっつければ終わりではありません。
例えば、
- 予約システム
- マイレージプログラム
- パイロット契約
- 客室乗務員の雇用
- 機材運用
- 空港ラウンジ
- ITシステム
など、統合しなければならないものが山ほどあります。
2010年のユナイテッド航空とコンチネンタル航空の統合でも、完全に一体化するまで長い年月がかかりました。
仮に合併したらアメリカ航空業界はどう変わる?
現在のアメリカ航空業界は、
- デルタ航空
- ユナイテッド航空
- アメリカン航空
- サウスウエスト航空
の「ビッグ4」が中心です。
しかしデルタ航空とユナイテッド航空が統合すれば、
その勢力図は一気に変わります。
世界最大級の航空会社が誕生
保有機材数、旅客数、売上高、路線網のいずれも世界トップクラスとなり、
まさに航空業界の「超巨大企業」が誕生することになります。
アメリカン航空だけでなく、
- エールフランス-KLM
- ルフトハンザグループ
- IAG(ブリティッシュ・エアウェイズなど)
といった欧州の巨大航空グループにも大きな影響を与えるでしょう。
日本への影響は?
日本への影響も決して小さくありません。
羽田・成田路線の再編
デルタ航空は羽田空港を中心に、
- シアトル
- ロサンゼルス
- ミネアポリス
- アトランタ
などへ運航しています。
一方ユナイテッド航空は、
- 成田
- 羽田
- サンフランシスコ
- シカゴ
- ニューヨーク
- グアム
など日本とのネットワークが充実しています。
もし統合されれば、
重複する路線は整理される可能性があります。
逆に需要の高い都市へ大型機材を投入するなど、効率化が進むことも考えられます。
最大の問題はアライアンス
航空ファンなら誰もが気になるのがここです。
現在、
デルタ航空は「スカイチーム」
ユナイテッド航空は「スターアライアンス」
に加盟しています。
つまり統合が実現すれば、
どちらかのアライアンスを離脱しなければなりません。
これは世界の航空連合にとっても歴史的な出来事になります。
ANAはスターアライアンス、
JALはワンワールドです。
デルタ・ユナイテッド統合は、日本の航空会社にも少なからず影響を与えるでしょう。
「火のない所に煙は立たない」のか?
SNSでは
「どうせデマでしょ」
という声もあります。
しかし今回は少し事情が違います。
実際にユナイテッド航空CEOがデルタ航空CEOへ統合を提案していたという報道が出ています。
つまり、
完全な作り話ではないということです。
もちろん現時点で交渉が続いているという情報はありません。
しかし、
- 燃料費の高騰
- 機材不足
- 人件費の上昇
- 国際競争の激化
など航空会社を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
こうした状況では、「将来的な業界再編」を各社が検討すること自体は決して不自然ではありません。
「火のない所に煙は立たない」という言葉どおり、今回の報道も将来の航空業界を考えるうえで興味深いニュースと言えるでしょう。
まとめ
今回の報道で最も驚くべき点は、
ユナイテッド航空がデルタ航空に対して実際に統合を打診していたということです。
現時点では独占禁止法や競争政策、デルタ航空側のメリットの少なさなどを考えると、実現の可能性は低いと見られます。
しかし、世界的に航空業界の再編が進むなかで、巨大航空会社同士の統合が検討されたこと自体は決して軽視できません。
もし将来、本当にデルタ航空とユナイテッド航空が一つになれば、アメリカだけでなく、日本を含めた世界の航空業界全体に大きなインパクトを与えることになるでしょう。
航空ファンとしては、今後も両社の動向から目が離せません。



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