同じ指数に連動するのに手数料が10倍?信託報酬で損しないために知っておきたいこと

投資

投資信託を選ぶとき、

「S&P500に投資するなら、どの商品を買っても同じ」

と思っている人もいるのではないでしょうか。

同じ指数への連動を目指すインデックスファンドであれば、値動きの方向はよく似ています。しかし、信託報酬をはじめとした運用コストは商品によって異なります。

長期投資では、わずかなコストの差が10年後、20年後の資産額に影響します。

投資信託を選ぶときは、「何に投資するか」だけでなく、「どれくらいコストがかかるか」も確認することが大切です。

信託報酬とは?

信託報酬とは、投資信託の運用や管理のために、保有期間中に支払う費用です。

投資信託は、主に次の会社が役割を分担して運営しています。

  • 運用会社
  • 信託銀行
  • 販売会社

これらの会社に支払われる費用が、投資信託の資産から信託報酬として差し引かれます。

購入時にまとめて請求されるのではなく、日々の純資産総額に応じて計算され、基準価額に反映される仕組みです。

そのため、投資家が手数料を支払っているという感覚を持ちにくいのですが、投資信託を保有している間は継続的に発生しています。

eMAXISとeMAXIS Slimを比較してみよう

初心者が間違えやすい代表例が、次の2つです。

  • eMAXIS
  • eMAXIS Slim

名前はよく似ていますが、「Slim」が付いているかどうかで信託報酬が大きく異なる商品があります。

全世界株式(除く日本)

商品 信託報酬(税込・年率)
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) 0.05775%以内
eMAXIS 全世界株式インデックス(除く日本) 0.66%以内

この2商品は、いずれも日本を除く先進国と新興国の株式を対象とする指数への連動を目指しています。

ただし、信託報酬には約11倍の差があります。

なお、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は日本を含む全世界株式が投資対象です。

「eMAXIS 全世界株式インデックス(除く日本)」とは対象指数が異なるため、この2商品を単純に比較することはできません。

米国株式(S&P500)

商品 信託報酬(税込・年率)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.08140%以内
eMAXIS S&P500インデックス 0.33%以内

こちらは、どちらもS&P500指数への連動を目指す商品です。

実質的な運用内容は同じですが、信託報酬には約4倍の差があります。

似た商品名だからといって、コストまで同じとは限りません。購入する前に、商品名と信託報酬を正確に確認する必要があります。

※信託報酬は2026年8月時点です。純資産総額によって適用率が変わる商品もあります。最新の情報は各商品の交付目論見書をご確認ください。

信託報酬の違いは30年後にどれくらい差が出る?

「0.66%と0.05775%なら、それほど大きな違いではない」

と思う人もいるかもしれません。

しかし、長期間保有すると、コストの差も積み重なっていきます。

例えば、次の条件で簡易的に試算してみます。

  • 初期投資:1,000万円
  • 運用期間:30年
  • 信託報酬控除前の年間運用利回り:5%
  • 追加投資なし
  • 税金や信託報酬以外の費用は考慮しない
信託報酬 30年後の資産額
0.05775% 約4,251万円
0.66% 約3,577万円

その差は約674万円です。

実際の運用成績やコストは毎年変動するため、この金額になることが保証されているわけではありません。

それでも、同じ指数への連動を目指す商品であれば、信託報酬の差が長期的な運用結果に影響することは分かります。

なぜ信託報酬が違うの?

eMAXIS Slimは、「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」という方針で運用されているシリーズです。

他社の類似商品や業界の動向を踏まえ、これまでにも信託報酬の引き下げが行われてきました。

一方、通常のeMAXISシリーズとは、設定時期や販売方法、信託報酬の配分などが異なります。

同じ運用会社の商品で、実質的な運用内容が同じでも、商品が設定された経緯や販売方法によってコストに差が生まれることがあります。

ただし、eMAXIS Slimが常にすべての商品より安いことを保証しているわけではありません。購入時点での信託報酬を確認することが必要です。

銀行かネット証券かだけで判断しない

銀行の窓口で販売されている投資信託には、低コストのインデックスファンドより信託報酬が高い商品もあります。

ただし、「銀行の商品はすべて高い」「ネット証券なら必ず安い」とは限りません。

銀行でも、インターネット取引限定でeMAXIS Slimなどの低コスト商品を取り扱っている場合があります。

大切なのは、購入する金融機関だけで判断せず、商品ごとに次の費用を確認することです。

  • 購入時手数料
  • 信託報酬
  • 信託財産留保額
  • その他の運用費用

「購入時手数料無料」と表示されていても、保有中の信託報酬は発生します。購入時の費用だけでなく、保有期間中の費用まで確認しましょう。

信託報酬だけで商品を決めるのも注意

信託報酬は重要な比較項目ですが、低ければそれだけでよいとは限りません。

インデックスファンドを選ぶときは、次の点も確認したいところです。

  • 連動を目指す指数
  • 信託報酬以外を含めた実質コスト
  • 指数との値動きの差
  • 純資産総額
  • 運用実績

特に注意したいのが、似た名前でも対象指数が異なるケースです。

日本を含む全世界株式と、日本を除く全世界株式では、投資対象が同じではありません。

まず対象指数を確認し、そのうえで同じ指数に連動する商品同士のコストを比較することが大切です。

まとめ

今回のポイントをまとめます。

  • 同じ指数への連動を目指す商品でも信託報酬は異なる
  • eMAXISとeMAXIS Slimは名前が似ているが、コストに差がある
  • 信託報酬は保有期間中、日々の基準価額に反映される
  • 金融機関ではなく商品ごとに費用を確認する
  • 信託報酬だけでなく、対象指数や実質コストも確認する

投資では、将来の市場の値動きを正確に予測することはできません。

一方で、どの商品を選び、どれくらいのコストを負担するかは自分で確認できます。

ほかの条件が同じであれば、信託報酬の低い商品を選ぶほうが長期投資では有利です。

商品名が似ているから同じだと思い込まず、購入前に対象指数と信託報酬を確認する習慣をつけましょう。

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