デルタが成田―シアトル線を開設へ|なぜ今さら成田?背景にあるアラスカ航空との競争

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デルタ航空が2027年3月から、東京・成田とシアトルを結ぶ路線を開設すると発表しました。

驚くのは、現在のシアトル―羽田線を残したまま、成田線を新たに追加することです。

なぜデルタは、いま成田なのか。

その背景には、シアトルをめぐるアラスカ航空との競争と、シアトルを北米の国際線ハブとしてさらに強化したいデルタの戦略がありそうです。

今回は、デルタが成田線を新設する狙いから、シアトルの国際線市場が今後どうなっていくのかまで考えてみます。

なぜデルタは今さら成田に就航するのか

今回のニュースで最も気になるのが、

「なぜデルタは今になって成田なのか」

ということです。

デルタは以前、東京の路線を成田から羽田へ移す方向に進みました。

東京の都心部へのアクセスや、国内線との乗り継ぎを考えれば、羽田の方が便利だからです。

そのため、

「デルタは成田から撤退して、羽田に集中する」

という流れになっていました。

ところが今回、デルタは成田へ戻ってきます。

しかも、以前のように羽田から成田へ移すわけではありません。

羽田を残したまま、成田を追加する。

ここに今回の発表の大きな意味があります。

デルタにとっては、東京市場そのものへの供給量を増やすだけでなく、シアトルをめぐる競争で重要な路線を確保する狙いがあると考えられます。

デルタは羽田線を残したまま成田線を追加

2027年3月以降、デルタのシアトル―東京路線は、

・シアトル―羽田
・シアトル―成田

の2路線になります。

どちらも毎日運航する計画です。

成田線にはエアバスA330-900neoを投入する予定で、デルタは羽田と成田の両方から東京へのアクセスを提供することで、東京市場への座席供給を拡大します。(Delta Air Lines)

つまり今回の動きは、

「羽田から成田へ戻る」

のではありません。

「羽田+成田」という2空港体制で東京市場を取りに行く

という戦略です。

これは、以前のデルタの東京戦略から考えると大きな変化です。

背景にあるアラスカ航空との競争

今回の成田線を考えるうえで、無視できないのがアラスカ航空です。

シアトルはアラスカ航空の本拠地です。

これまでアラスカ航空は、アメリカ西海岸を中心とした国内線ネットワークに強みを持っていました。

ところが、ハワイアン航空との統合によって状況が変わりました。

ハワイアン航空が保有していたワイドボディ機などを活用し、アラスカ航空はシアトルから長距離国際線を本格的に拡大しています。

2025年にはシアトル―成田線を開設。

さらにソウルなどへの国際線も強化しています。

そしてアラスカ航空は、2030年までにシアトルから少なくとも12の長距離国際線を展開する計画を掲げています。(Alaska Airlines)

一方のデルタもシアトルを重要な国際線ハブとして強化しています。

2026年にはローマやバルセロナなどへの路線を拡大しています。(Port of Seattle)

そこへ今回、

デルタ「羽田だけでなく、成田にも飛ばします」

となりました。

デルタが公式に「アラスカ対策」と説明しているわけではありません。

しかし、アラスカ航空がシアトルを起点に国際線を急速に拡大しているタイミングで、デルタも東京への供給を増やすという動きは非常に興味深いものです。

デルタとしては、シアトルをアラスカ航空にとっての「ホーム」にしたままにしておきたくない。

そんな戦略が見えてきます。

シアトルから東京へはすでに多くの便がある

では、そもそもシアトルと東京の間にはどれくらいの需要があるのでしょうか。

現在でもシアトルから東京へは、羽田と成田の両方に直行便があります。

ANA、JAL、デルタに加え、アラスカ航空・ハワイアン航空陣営も成田線を展開しています。

そこへ2027年からデルタの成田線が加わります。

「これだけ便があって、本当に乗客が集まるのか?」

と思ってしまいます。

ところが、シアトル―東京市場は航空会社にとってかなり重要な市場です。

アラスカ航空によると、東京はシアトルにとってロンドンに次ぐ2番目に大きな大陸間市場です。

2024年にはシアトルと東京の間を1日あたり約400人が各方向に移動していたとされています。(Alaska Airlines)

ただし、この数字だけを見て「シアトルから東京へ旅行する人が大量にいる」と考えると、少し違います。

重要なのは、シアトルが乗り継ぎ拠点だということです。

シアトルは「目的地」ではなく「乗り継ぎ拠点」

航空会社にとってシアトルの魅力は、シアトルそのものの人口だけではありません。

シアトルを経由して、アメリカ各地へ乗り継げることが大きな強みです。

例えば、

東京

シアトル

ポートランド

東京

シアトル

アラスカ州

東京

シアトル

アメリカ西海岸の各都市

といった旅行が可能です。

逆方向も同じです。

アメリカ各地

シアトル

東京

という乗り継ぎ需要を取り込むことができます。

つまり航空会社は、

「シアトルに住んでいる人だけで飛行機を満席にする」

必要がありません。

シアトルをハブとして、アメリカ各地から乗客を集めることができます。

実際、アラスカ航空によると、シアトル―成田線について、アメリカ国内で購入された成田行き航空券の半分は、シアトル以外の80都市以上からの乗客だとしています。(Alaska Airlines)

これを考えると、なぜ航空会社がシアトルから東京へ大型機を飛ばすのかが見えてきます。

各社がシアトル路線を相次いで拡大しているが、採算は取れるのか

一方で、当然ながら疑問もあります。

これだけ各社がシアトルの国際線を拡大して、本当に採算が取れるのでしょうか。

シアトル・タコマ国際空港では国際線ネットワークそのものが拡大しています。

2026年には、国際線の就航都市が37都市、就航航空会社が29社となっています。国際線サービスは60路線に達し、コロナ前の水準を上回っています。(Port of Seattle)

アラスカ航空は国際線を拡大。

デルタも国際線を拡大。

さらにANA、JAL、韓国系、欧州系などもシアトルへ乗り入れています。

これだけ供給が増えれば、当然ながら競争も激しくなります。

航空会社にとっては、座席を埋めるだけでなく、十分な運賃を確保できるかが重要です。

航空会社が路線を増やすもう一つの理由

それでも航空会社が路線を増やすのには理由があります。

それは、

「ライバルに取られる前に、自分たちのネットワークを作っておきたい」

ということです。

例えば、デルタが、

「シアトル―成田は今のところ羽田だけで十分」

と判断して成田線を設定しなかったとします。

その間にアラスカ航空が成田線を増強すれば、アラスカ側に乗客が流れる可能性があります。

さらに、

・マイレージ会員
・企業顧客
・乗り継ぎ客
・ブランド認知
・空港での発着枠

などもライバル側に積み上がっていきます。

特にハブ空港では、路線そのものだけではなく、ネットワーク全体が競争力になります。

そのため、

「この路線だけでどれだけ利益が出るのか」

だけでは判断できません。

「この路線を持っていることで、ネットワーク全体にどんな価値が生まれるのか」

という視点が必要になります。

今後は路線の選別が始まる可能性も

ただし、現在の拡大がすべて成功するとは限りません。

航空会社が新路線を開設しても、需要が予想を下回れば、

・減便
・季節運航への変更
・機材の小型化
・路線撤退

といった対応が行われます。

特にシアトルでは、アラスカ航空とデルタがともに国際線ネットワークを拡大しています。

現在は、

「どちらが先にシアトルで国際線ネットワークを築くか」

という拡大競争の段階に見えます。

しかし数年後には、

「どの路線が本当に利益を生み出したのか」

という選別の段階に入る可能性があります。

現在は積極的に路線を増やしているアラスカ航空とデルタが、将来的にもすべての路線を維持するとは限りません。

むしろ、今後どの路線が残り、どの路線が消えていくのかを見ることが、シアトル市場を理解するうえで重要になりそうです。

今回のデルタ成田線が意味すること

今回の発表を、

「デルタが成田―シアトル線を復活させる」

というだけで見ると、単なる1路線のニュースに見えます。

しかし、その背景を見ると意味が変わってきます。

デルタは羽田線を維持したまま、成田線を追加します。

一方、アラスカ航空はシアトルを起点に国際線を急速に拡大しています。

つまり今回の成田線は、

東京市場の需要を取り込むこと

に加えて、

シアトルをめぐる国際線競争でデルタの存在感を維持・拡大すること

にも意味があると考えられます。

そして、その競争によってシアトルの国際線ネットワークはさらに大きくなっています。

まとめ

デルタが2027年3月から成田―シアトル線を開設します。

しかも羽田線を廃止するわけではありません。

羽田+成田の2路線体制になります。

なぜ、デルタは今さら成田なのか。

背景には、シアトルをめぐるアラスカ航空との競争があります。

アラスカ航空はハワイアン航空との統合を生かして、シアトルから長距離国際線を積極的に拡大しています。

デルタもシアトルを重要な国際線ハブとして強化しています。

シアトル―東京市場には一定の需要があり、さらにシアトルを経由してアメリカ各地へ向かう乗り継ぎ需要もあります。

そのため、東京路線を増やす意味は決して小さくありません。

一方で、各社がシアトルの国際線を相次いで拡大していることを考えると、今後もすべての路線が維持されるとは限りません。

これからは、

「どの航空会社がシアトルの国際線ネットワークを制するのか」

だけでなく、

「増え続けた路線のうち、どれが生き残るのか」

にも注目したいところです。

デルタの成田線が始まる2027年以降、シアトルを舞台にしたアラスカ航空とデルタの競争は、さらに面白くなりそうです。

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