スターアライアンスのファーストクラス世界一周運賃が廃止|お得だった理由とワンワールドの選択肢

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ファーストクラスで世界を一周する。そんな憧れの旅を、通常の航空券とは異なる料金体系で実現できた運賃が、一つ姿を消しました。

スターアライアンスは、2026年10月1日から世界一周運賃とサークルパシフィック運賃のファーストクラス運賃の新規発券を終了しました。

ただし、世界一周運賃そのものがなくなったわけではありません。また、JALが加盟するワンワールドでは、現在もファーストクラスを含む世界一周運賃が案内されています。

今回は、世界一周運賃の仕組み、廃止の背景として考えられること、かつての価格の魅力、そして組める旅程の例を紹介します。

何が廃止されたのか

今回、新規発券が終了したのは、スターアライアンスの次の二つの商品のファーストクラス運賃です。

  • 世界一周運賃
  • サークルパシフィック運賃

世界一周運賃は、複数の大陸を巡り、地球を一周して戻るための航空運賃です。一方、サークルパシフィック運賃は、アジア・北米・オセアニアなど太平洋周辺を周遊する商品で、世界を一周する必要はありません。

今回の廃止は、ANAやルフトハンザなどのファーストクラスの座席やサービス自体がなくなるという意味でもありません。

報道によると、発券済みで予約が確定している航空券は引き続き利用できますが、2027年10月1日までの搭乗が必要です。変更の取り扱いは発券日により異なり、2026年6月29日以前の発券分は、変更を認めず運賃規則に基づく払い戻しを案内する方針とされています。払戻手数料もかかります。

なお、報道は変更規定の境目を「6月30日」としていますが、公式予約サイトの旅行期限の注意書きは「7月1日以降発券分」と表記しています。発券済みの方は、航空券を購入した航空会社や旅行会社で、自分の航空券に適用される条件を確認してください。

世界一周運賃とは?航空券を一枚ずつ買うのと何が違う?

世界一周運賃は、航空連合のネットワークを利用して、複数の航空会社の便を一つの旅程にまとめる商品です。

例えば、日本からヨーロッパへ行き、その後アメリカを訪れ、日本へ戻る旅を考えてみます。区間ごとに別々の片道航空券を買う代わりに、世界一周運賃のルールに沿って全体を組み立てます。

料金の決め方には、飛行距離を基準にする方式と、訪れる大陸の数を基準にする方式があります。スターアライアンスの基本的な世界一周運賃は、距離を基準にした仕組みです。

主なルールには、次のようなものがあります。

  • 東回り、または西回りで世界を一周する
  • 太平洋と大西洋をそれぞれ一度横断する
  • 出発と旅行終了は同じ国にする
  • 最大16区間の範囲で旅程を組む
  • 途中の都市に滞在して観光を楽しめる

何度でも乗れる航空券ではなく、決められた区間数や距離の中で旅を組み立てる商品です。訪問都市を増やすほど乗り継ぎ区間も増えるため、「16区間なら16都市に滞在できる」とは限りません。

また、今回の有償運賃と、マイルで交換する世界一周特典航空券は別制度です。ANAマイルによるスターアライアンス世界一周特典航空券は、2025年6月23日に新規発券を終了しています。

ファーストクラス世界一周運賃は、どれほどお得だった?

廃止前の日本発ファーストクラス世界一周運賃は、次の金額でした。

総旅程距離 基本運賃
29,000マイル以内 1,141,000円
34,000マイル以内 1,344,000円
39,000マイル以内 1,504,800円

約114万円から約150万円と聞くと、もちろん高額です。ただ、長距離のファーストクラスを複数区間利用し、世界各地を巡る旅行全体の運賃として考えると、その魅力が見えてきます。

長距離便を複数組み込める点に価値があった

お得さの中心は、日本と一つの国を往復するだけでなく、アジアからヨーロッパ、ヨーロッパから北米、北米から日本といった長距離移動をまとめられることでした。

単純な計算例として、1,141,000円の基本運賃で長距離ファーストクラスを3区間確保できたと仮定すると、基本運賃をその3区間だけで割った金額は、1区間あたり約38万円です。さらに、ルールの範囲で別の移動区間を組み込める余地もありました。

これは実際の区間別運賃でも、予約可能な旅程の見積もりでもありません。複数の長距離ファーストクラスをまとめて利用する価値を説明するための計算です。

個別購入との正確な差額は、同じ日付・同じ便・同じ変更条件で比較する必要があります。「誰でも必ず半額」「何百万円も安い」と一律に言うことはできません。

約114万円だけで旅行できたわけではない

上記は基本運賃です。燃油サーチャージや空港税などが別途加わり、ホテル代、食事代、現地の移動費も必要になります。

また、ファーストクラス運賃を購入しても、すべての便にファーストクラスがあるわけではありません。短距離便やファーストクラスを設定していない航空会社では、ビジネスクラスなどを利用することになります。

価値が大きかったのは、希望する長距離便の上位クラスを確保でき、複数都市への旅行も楽しみたい人です。安く世界一周することが目的なら、エコノミーやビジネスクラスを含めて比較した方がよいでしょう。

なぜファーストクラス運賃が廃止されるのか

確認できた公式案内や報道では、廃止理由の詳しい説明は見当たりません。ここからは、航空会社のサービスや商品の仕組みを踏まえた考察です。

ファーストクラスは、利用できる機材や路線が限られる

ファーストクラスは、加盟航空会社のすべての便にあるサービスではありません。

例えば、シンガポール航空はA380のスイートと777のファーストクラスを案内しています。ルフトハンザも、A350の新しいファーストクラスを特定の路線で提供しています。

そのため、周遊したい都市を自由に選ぶことと、長距離区間をファーストクラスでつなぐことを両立させるには、機材、運航日、対象の予約クラスの空席を細かく合わせる必要があります。

共通運賃として販売しても、実際に利用できる選択肢が限られるという難しさは、商品の背景として考えられます。

少数の座席を、各社の判断で販売したい可能性

航空会社にとって、ファーストクラスの座席は限られた商品です。

共通の世界一周運賃で販売するよりも、自社の路線の需要に応じて価格や販売条件を設定したいという判断があっても不思議ではありません。特に、高い価格でも売れる便では、共通運賃に割り当てる座席とのバランスが課題になります。

ただし、これは考えられる販売戦略です。「お得すぎて赤字だったから廃止された」と断定できる資料は確認できていません。

各社のサービスの違いを、一つの商品にまとめる難しさ

同じファーストクラスでも、個室の設備、座席数、ラウンジ、地上サービスは航空会社によって異なります。

一つの共通運賃で複数社を利用できることは旅行者には魅力ですが、販売条件や変更時の取り扱いをそろえる難しさもあります。廃止の背景を考える際は、単なる値上げの話だけでなく、共通商品を維持する負担も視野に入れる必要があるでしょう。

ワンワールドにも世界一周運賃はある?

JALが加盟するワンワールドにも世界一周運賃があります。2026年10月2日時点の公式サイトでは、エコノミー、ビジネス、ファーストクラスが案内されています。

代表的な商品は次の二つです。

商品 運賃を決める主な基準 特徴
ワンワールド・エクスプローラー 訪問・通過する大陸の数 大陸を巡る旅程を組みやすい
グローバル・エクスプローラー 総旅程距離 一部のワンワールド外の航空会社も対象

ワンワールド・エクスプローラーでは、3〜6大陸を巡る旅程を組めます。運賃上の大陸区分は地理の教科書と完全には一致せず、ヨーロッパと中東は同じ区分です。単なる乗り継ぎでも、通過する大陸が料金計算に関係する点に注意が必要です。

JAL、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック、カンタス航空などを組み合わせる旅が候補になります。ただし、対象便や利用できるクラスは、機材と運賃規則によって変わります。

世界一周運賃では、どんなコースが組める?

以下は、訪問都市の組み合わせをイメージするための旅程案です。空席や運賃規則を照合して発券可能と確認した旅程ではなく、全区間のファーストクラス利用を保証するものでもありません。

① ヨーロッパとニューヨークを巡る3大陸コース

東京 → ロンドン → マドリード → ニューヨーク → 東京

ワンワールドで考えやすい西回りの旅程案です。アジア、ヨーロッパ・中東、北米の3大陸を巡ります。

東京からロンドンとニューヨークから東京はJAL、ロンドンからマドリードはブリティッシュ・エアウェイズやイベリア航空、マドリードからニューヨークはイベリア航空などが候補になります。

ロンドンの観光に、スペインの美術館や食事、ニューヨークの街歩きを組み合わせられるコースです。長距離区間にファーストクラスを組み込めるか、欧州内などはどのクラスになるかを確認して計画します。

② オーストラリアも加える4大陸コース

東京 → シドニー → ロサンゼルス → ニューヨーク → ロンドン → 東京

アジア、南西太平洋、北米、ヨーロッパ・中東の4大陸を巡る東回りの旅程案です。

JAL、カンタス航空、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズなどの組み合わせが候補になります。

シドニーで海辺の景色を楽しみ、アメリカの西海岸と東海岸を訪れ、最後にロンドンへ向かいます。3大陸の旅より移動と滞在が増えるので、航空券の価格だけでなく、休暇の日数と宿泊費も考えたいコースです。

③ スターアライアンスでシンガポールと欧米を巡る

東京 → シンガポール → フランクフルト → ニューヨーク → 東京

ANA、シンガポール航空、ルフトハンザ、ユナイテッド航空などを候補に考える西回りの旅程案です。

今回、ファーストクラス運賃の新規発券は終了しましたが、世界一周という旅行の選択肢は残っています。ビジネスクラスなどで検討するなら、アジアの都市と欧米を組み合わせる旅も考えられます。

世界を一周しないなら、太平洋周遊も候補

東京 → ロサンゼルス → シドニー → 東京

ヨーロッパまで行く時間が取れない場合には、サークルパシフィックのような太平洋周遊商品も候補です。

これは世界一周運賃とは別の商品です。ワンワールドもサークルパシフィックを案内していますが、利用可能なクラスや距離区分は、世界一周商品と分けて確認してください。

ファーストクラス運賃を選ぶ前に確認したいこと

ワンワールドにファーストクラス世界一周運賃が残っていても、購入すれば希望する便に必ず乗れるわけではありません。

重要なのは、通常のファーストクラスの空席だけでなく、世界一周運賃で使える予約クラスに空席があるかという点です。また、ファーストクラスを設定していない区間もあります。

ワンワールド・エクスプローラーの規則では、下位クラスを利用する区間があっても、使用する最上位クラスの運賃が適用され、補償はありません。「一部だけファーストクラスなら、残りの分は安くなる」とは考えない方がよいでしょう。

検討するときは、次の条件をそろえて、ビジネスクラス運賃とも比較するのがおすすめです。

  • 希望する長距離便で利用できるクラスと機材
  • 世界一周運賃の対象予約クラスの空席
  • 税金や燃油サーチャージを含む支払総額
  • 変更・払い戻し条件
  • 各大陸の区間数制限と、乗り継ぎを含む総区間数

なお、ワンワールド・エクスプローラーでは、飛行機に乗らず地上移動する区間も総区間数に含まれます。周遊先を増やすときは、この点にも注意が必要です。

まとめ:憧れの旅の選択肢が一つ減ったのは残念

スターアライアンスのファーストクラス世界一周運賃の廃止は、長距離ファーストクラスを組み合わせて世界各地を巡りたい人にとって、残念なニュースです。

約114万円からという基本運賃は、日常的な旅行としては高額です。それでも、複数の長距離区間と周遊旅行を一つにまとめられる仕組みには、特別な魅力がありました。

一方、世界一周運賃そのものは残っており、ワンワールドではファーストクラスも引き続き案内されています。

これから検討するなら、まずは行きたい都市を決め、乗りたい長距離便を選び、ファーストクラスとビジネスクラスの総額を比べる。憧れの旅だからこそ、座席だけでなく、現地で過ごす時間まで含めて納得できる旅程を組みたいものです。

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