2026年10月1日から、ふるさと納税のルールが変わりました。
今回の変更は、返礼品が本当にその地域の産品なのかを確認する仕組みと、自治体が寄付金を地域のために使える割合を高める仕組みが中心です。一部の返礼品では、寄付金額や内容量の変更、受付終了などが起こる可能性があります。
「何が変わったのか」「なぜ変わったのか」「これからどう利用すればよいのか」を整理します。
- 2026年10月から何が変わった?主な変更点
- 変更① 返礼品の「地場産品基準」がより明確になった
- 変更② 返礼品の調達価格の妥当性も確認される
- 変更③ 自治体が地域のために使える寄付金を増やす
- 変更④ 募集経費と寄付金の使い道が見えるようになる
- なぜ制度が変わったのか?
- 利用者への影響は?返礼品は値上がりするのか
- 注意点① 控除の仕組みが10月からなくなったわけではない
- 注意点② すでに完了した寄付まで申し込み直す必要はない
- 注意点③ お気に入りやカートへの登録では条件は確保されない
- 注意点④ ポイント禁止とカード決済の還元を混同しない
- これからどうしたらいい?ふるさと納税の進め方
- まとめ:10月以降も利用できる。返礼品の条件を確認しよう
2026年10月から何が変わった?主な変更点
今回の制度変更で押さえたいのは、次の4点です。
| 変更点 | 主な内容 | 寄付する人への影響 |
|---|---|---|
| 地場産品基準の明確化 | 地域内で生まれた価値を価格に基づいて算定し、事業者が証明 | 一部の返礼品で内容変更や受付終了の可能性 |
| 返礼品の価格・証明内容の公表 | 一般販売価格や地域内の付加価値割合などを自治体が公表 | 返礼品と地域の関係を確認しやすくなる |
| 自治体が活用できる寄付金割合の引き上げ | 経費を引いた残額を段階的に60%以上へ | 経費見直しに伴う寄付金額・内容量の変更の可能性 |
| 募集経費・使い道の透明化 | 一定額以上の経費の支払先などや寄付金の使途を公表 | 寄付金がどう使われているかを確認しやすくなる |
なお、ふるさと納税サイトによるポイント付与の禁止は、2025年10月に始まった変更です。2026年10月の変更とは分けて理解する必要があります。
変更① 返礼品の「地場産品基準」がより明確になった
地場産品とは、その地域との関係がある返礼品のこと
ふるさと納税では、自治体が自由にどんな商品でも返礼品にできるわけではありません。その地域で生産されたものや、地域内の製造・加工によって価値が生まれたものなど、総務省が定める地場産品基準に適合する必要があります。
今回の変更で特に関係するのが、地域内で製造・加工する返礼品に適用される「地場産品基準第3号」です。
地域外から仕入れた材料を使う場合でも、地域内の製造・加工で返礼品の価値の半分を超える部分が生まれていれば、基準に適合し得ます。原材料がすべて地元産でなければならない、という意味ではありません。
新しくなったのは、算定・証明・公表の仕組み
これまでも、地域内の工程で価値の過半が生まれることは求められていました。2026年10月以降は、その判断をより明確にするため、価格に基づく算定を原則とし、製造・加工などを行う事業者による証明と、自治体による証明事項の公表が求められます。
つまり、「地域内で加工しているから大丈夫」という説明だけではなく、どの程度の価値が地域内で生まれたのかを示す必要があるということです。
対象となる返礼品では、証明内容が公表されていなければ提供できません。基準への対応状況によっては、製造工程や原材料の見直し、掲載終了につながる可能性があります。
変更② 返礼品の調達価格の妥当性も確認される
返礼品については、自治体への納入価格が、一般の消費者向けの販売価格と比べて不自然に高くなっていないかも問題になります。
総務省の説明資料では、一般販売価格より高い価格で自治体に納品し、その価格をもとに地域内の付加価値を算定するような事例が課題として挙げられています。
今回、第3号に該当する返礼品では、一般販売価格も証明書に記載し、付加価値の証明内容とともに公表する仕組みが設けられます。合理的な理由なく一般販売価格より高く調達することを避け、価格の妥当性を確保する狙いがあります。
ただし、公表される「地域内の付加価値割合」は、商品の品質や満足度の点数ではありません。割合が高いから必ずおいしい、性能がよい、というものではなく、地場産品基準への適合を確認するための情報です。
変更③ 自治体が地域のために使える寄付金を増やす
寄付金の全額が自治体の事業に使われるわけではない
ふるさと納税で集まった寄付金からは、返礼品の調達費、送料、サイト利用料、決済手数料、事務費などが支払われます。
寄付金から募集に必要な経費を差し引き、自治体が事業に活用できる金額を「寄附金活用可能額」といいます。2026年10月からは、この割合を段階的に引き上げる仕組みが始まります。
2026年10月から一気に60%になるわけではない
最終的な基準は60%以上ですが、経過措置があります。
| 指定対象期間 | 自治体が活用できる寄付金の割合 | 対応する募集経費の上限 |
|---|---|---|
| 2026年10月〜2027年9月 | 52.5%以上 | 47.5%以下 |
| 2027年10月〜2028年9月 | 55%以上 | 45%以下 |
| 2028年10月〜2029年9月 | 57.5%以上 | 42.5%以下 |
| 2029年10月以降 | 60%以上 | 40%以下 |
たとえば、指定対象期間に寄付金を総額1億円受け入れる自治体なら、初年度は5,250万円以上を事業に活用できるようにする基準です。2029年10月以降は6,000万円以上になります。
これは自治体が期間中に受け入れる寄付金の総額に対する基準です。個々の寄付の返礼品が一律に同じ割合だけ減る、という意味ではありません。
経費を抑える方法としては、事務の効率化や手数料の見直しなども考えられます。ただし、対応の方法は自治体ごとに異なるため、一部の返礼品で寄付金額や内容量の見直しにつながる可能性があります。
変更④ 募集経費と寄付金の使い道が見えるようになる
募集経費については、1支払先あたり年間100万円以上となるものの支払先、支払額、支払目的などを公表する仕組みが設けられます。複数回支払う場合も、合計額で判断されます。
久喜市などでは、2026年10月からの指定に向けて一覧表を公表しています。寄付金を集めるために、どこへどれだけの費用が支払われたかを確認できるようになります。
また、自治体が活用できる寄付金の使途についても、公表が求められます。
返礼品の量や寄付金額に加え、「子育て支援、防災、地域産業などにどう使われたか」を見て寄付先を選ぶ材料が増えることになります。
なぜ制度が変わったのか?
地域との関係があいまいな返礼品を減らすため
総務省は、付加価値の算定方法が自治体によって異なり、同じ製品を複数の自治体が地場産品として扱えることや、本当に価値の過半が地域内で生まれているか疑問のある事例を課題に挙げています。
ふるさと納税は、地域を応援するための制度です。地域との関係が薄い商品を、説明や計算の仕方だけで返礼品にできてしまうと、制度の目的から離れてしまいます。
算定方法や証明の仕組みをそろえることには、地域で実際に製造・加工する事業者を適正に評価する意味もあると考えられます。
集めた寄付金を、より多く地域の事業に回すため
寄付が増えても、返礼品や募集経費に多くを使えば、自治体が住民向けの事業に活用できる財源は限られます。
そこで、経費を引いた後に使える寄付金の割合を高め、その使い道も公表する方向へ見直されました。
私としても、寄付金が地域のためにどう使われたか分かりやすくなることは、よい方向だと思います。一方で、返礼品を楽しみに利用している人にとっては、同じ金額で受け取れる量が減ったり、お気に入りがなくなったりすれば残念に感じるでしょう。
利用者への影響は?返礼品は値上がりするのか
考えられる主な影響は、次のようなものです。
- 同じ返礼品でも、必要な寄付金額が変わる
- 寄付金額は同じでも、内容量やセット内容が変わる
- 返礼品の受付が終了する
- 原材料や製造工程の変更に伴い、商品内容が変わる
JALふるさと納税でも、一部の返礼品について、2026年9月末の受付終了や、10月からの寄付金額・内容量の見直しの可能性を案内しています。
ただし、すべての返礼品が値上がりするわけではありません。楽天ふるさと納税も、自治体や返礼品によって対応が異なると説明しています。
「去年はこの金額でこの量だった」という記憶だけで申し込まず、今回の掲載条件を確認することが大切です。
注意点① 控除の仕組みが10月からなくなったわけではない
今回の変更は、主に自治体や返礼品提供事業者側のルールです。2026年10月の改正によって、寄付金控除やワンストップ特例の基本的な利用方法が変わるわけではありません。
上限の範囲内で適切に手続きをすれば、年間の寄付総額から原則2,000円を除いた部分が、所得税と住民税から控除される基本的な仕組みは続きます。
返礼品の条件が変わることと、自分の控除上限額が変わることは、別に考えましょう。上限額は、その年の所得や控除などによって変わります。
注意点② すでに完了した寄付まで申し込み直す必要はない
楽天ふるさと納税は、すでに完了した寄付については、返礼品の送付や税金控除の対応を従来どおり行うと案内しています。
10月以降に届く予定の返礼品があるからといって、今回の改正だけを理由に寄付を申し込み直す必要はありません。
ただし、発送時期や個別のお知らせは、自治体からの案内を確認してください。
注意点③ お気に入りやカートへの登録では条件は確保されない
以前からお気に入りに入れていた返礼品でも、申し込む時点で寄付金額や内容が変わっている可能性があります。
寄付前には、次の点を確認しましょう。
- 寄付金額と内容量
- 産地、原材料、製造・加工地
- 発送時期と配送回数
- 定期便の1回分の量と総量
- 受付終了や内容変更に関するお知らせ
特に定期便は、「総量」と「1回あたりの量」を取り違えないようにしたいところです。金額だけで比較せず、自分が使い切れる内容かどうかも確認しましょう。
注意点④ ポイント禁止とカード決済の還元を混同しない
2025年10月から、ふるさと納税サイトによる寄付に対するポイント付与が禁止されています。楽天のお買い物マラソンなどによる、ふるさと納税へのポイント付与も対象外です。
一方、通常のカード決済に伴うポイントなどは区別されています。ただし、実際の対象取引や還元率はカード会社の条件を確認する必要があります。
マイルを貯める場合も、「サイトが寄付特典として付けるマイル」と「カード決済に伴う通常のマイル」は分けて確認しましょう。以前のキャンペーンの記憶だけで、今回も同じ還元があると考えないことが大切です。
これからどうしたらいい?ふるさと納税の進め方
まずは、今年すでに寄付した金額を合計する
複数のサイトを使っている場合は、すべての寄付を合算して管理しましょう。サイトごとに控除上限額があるわけではありません。
今年の上限見込みから、すでに寄付した金額を差し引いて、追加で寄付できる目安を確認します。年末までの収入が確定していなければ、上限ぎりぎりまで使い切ることにこだわらず、余裕を残す方法が考えられます。
リピートしている返礼品も、毎回条件を確認する
同じ商品名でも、寄付金額や内容量が変わる可能性があります。過去の履歴から申し込む場合も、現在の商品ページを開いて確認しましょう。
普段使う米、肉、魚、日用品などを選ぶなら、保存場所や消費量も判断材料になります。量が多くても、使い切れなければ家計の助けになりにくいからです。
サイトは、使いやすさや手続きのしやすさで選ぶ
返礼品を検索しやすいか、寄付履歴を管理しやすいか、申請や証明書の取得方法が分かりやすいかなども確認したい点です。
同じ返礼品が複数サイトにある場合でも、掲載条件や選べる発送時期を見比べてから申し込むとよいでしょう。
税金の手続きまで完了させる
返礼品を受け取っただけでは、税金の控除は完了しません。
ワンストップ特例は、確定申告が不要な給与所得者などで、寄付先が5自治体以内の場合に利用できます。確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した分も含め、すべてのふるさと納税を申告に入れる必要があります。
確定申告での控除は所得税と住民税に分かれるため、翌年の住民税通知書だけで寄付額から2,000円を引いた全額を確認できるとは限りません。所得税側の反映も合わせて確認しましょう。
まとめ:10月以降も利用できる。返礼品の条件を確認しよう
2026年10月の変更では、返礼品の地場産品基準が明確になり、自治体が地域の事業に活用できる寄付金の割合も段階的に引き上げられます。募集経費や使い道が見えるようになることも、大きな変化です。
利用する側が押さえたいのは、同じ返礼品でも、以前と条件が変わっている可能性があることです。
今年の寄付総額と控除上限の目安を確認し、返礼品の金額・内容量・発送時期を見てから申し込む。そして、ワンストップ特例や確定申告まで済ませる。この基本を大切にしたいと思います。



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