投資を始めると、多くの人が迷うのが「インデックス投資」と「高配当投資」のどちらを選ぶかです。
SNSでは、「配当金だけで生活したい」「毎月お金が入ってくる仕組みを作りたい」といった声もよく見かけます。
確かに、保有しているだけで定期的な収入を得られる高配当投資には、大きな魅力があります。
それでも、これから資産を増やすことが目的なら、私はインデックス投資を優先します。
高配当投資を否定したいわけではありません。大切なのは、配当利回りの高さだけで選ぶのではなく、「資産を増やしたいのか」「今使える現金が欲しいのか」を明確にすることです。
この記事では、NISAの仕組みも踏まえながら、インデックス投資と高配当投資の違い、そして私がインデックス投資を選ぶ理由を考えます。
インデックス投資と高配当投資の違い
この記事では、S&P500や全世界株式などに連動する低コストの投資信託を「インデックス投資」、配当利回りの高い個別株やETFを中心に保有する方法を「高配当投資」として比較します。
| 比較項目 | インデックス投資 | 高配当投資 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 長期的な資産形成 | 定期的な配当収入 |
| 利益の受け取り方 | 値上がり益とファンド内で再投資される配当 | 保有中に配当金や分配金を受け取る |
| 分散 | 1本で幅広く分散しやすい | 銘柄や業種が偏ることがある |
| 現金化 | 必要な分を売却する | 定期的に配当金が入る |
| 再投資 | 無分配型ならファンド内で効率よく再投資される | 自分で再投資する必要がある |
| 管理の手間 | 比較的少ない | 業績や減配の確認が必要 |
どちらが優れていると一概に決められるものではありません。
ただし、比較するときは「配当利回り」だけではなく、値上がり益と配当を合計したトータルリターンで考えることが重要です。
配当金は「株価の値上がりとは別にもらえる利益」ではない
高配当投資を考えるうえで、まず知っておきたいことがあります。
配当金は、株価の値上がりとは別に、何もないところから生まれる利益ではありません。
企業が利益の一部を株主へ支払えば、その分だけ企業の中に残る現金は減ります。日本取引所グループの用語解説でも、配当落日の株価は配当相当額分下落すると説明されています。
例えば、株価100万円の銘柄から4万円の配当金を受け取った場合、単純に資産が104万円になるわけではありません。配当落ちによって株価が96万円程度になれば、株式96万円と現金4万円で合計は100万円です。
もちろん、実際の株価は業績や相場環境などでも動くため、必ず配当額と同じだけ下がるわけではありません。
それでも、「配当金が多いほど投資家の利益も大きい」とは限らないことは押さえておきたいところです。
大切なのは、次の合計です。
トータルリターン=値上がり益+配当金・分配金
配当利回りだけでなく、将来の成長性や減配の可能性まで含めて判断する必要があります。
NISAで高配当投資をするメリット
配当金を非課税で受け取れる
通常、上場株式の配当金や売却益には20.315%の税金がかかります。
NISA口座で保有する国内上場株式の配当金は、証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選んでいれば、国内の税金がかかりません。詳しい受取条件は、日本証券業協会の案内でも確認できます。
例えば、年間40万円の配当金を受け取る場合、課税口座では約8万1,000円が差し引かれます。NISAなら、この国内課税分を残すことができます。
なお、配当金を銀行口座や郵便局で受け取る方式では、NISAで保有していても非課税にならない場合があります。国内上場株式で配当投資をするなら、受取方式を確認しておきましょう。
売却の判断をしなくても現金が入る
インデックス投資では、生活費などに使うために自分で売却額とタイミングを決める必要があります。
一方、高配当株は、企業が配当を続ける限り、保有しているだけで現金が振り込まれます。
相場が下落しているときに自分で資産を売ることへ抵抗を感じる人にとって、定期的な配当収入は安心につながります。
生活費との結びつきが分かりやすい
年間120万円の配当金なら月平均10万円、年間240万円なら月平均20万円に相当します。
実際の配当時期は毎月均等ではなく、減配や無配になる可能性もあります。それでも、年金に加えてどれくらいの収入を得られるかをイメージしやすい点は、高配当投資の魅力です。
NISAで高配当投資をするデメリット
配当だけで生活するには大きな資産が必要
配当利回りを4%と仮定した場合、希望する年間配当と必要資産の目安は次のようになります。
| 年間配当の目安 | 月平均 | 必要資産の目安 |
|---|---|---|
| 120万円 | 10万円 | 3,000万円 |
| 240万円 | 20万円 | 6,000万円 |
| 360万円 | 30万円 | 9,000万円 |
| 480万円 | 40万円 | 1億2,000万円 |
これは税金、手数料、株価変動、為替変動、減配を考慮しない単純計算です。
また、金融庁のNISA特設サイトによると、新NISAの非課税保有限度額は、取得金額ベースで合計1,800万円です。そのうち、個別株を購入できる成長投資枠は1,200万円までです。
仮に成長投資枠1,200万円を配当利回り4%の個別株で埋めても、年間配当は単純計算で48万円、月平均では4万円です。
高配当株だけで月20万円、30万円という生活費を得るには、NISAだけでは足りず、課税口座も使う可能性が高くなります。
銘柄や業種が偏りやすい
高い配当を出す企業は、銀行、保険、通信、エネルギーなど、特定の業種に集まりやすい傾向があります。
利回りの高さだけを基準に銘柄を選ぶと、ポートフォリオが一部の業種や企業へ偏り、相場環境の変化による影響を受けやすくなります。
高配当ETFを使えば個別株より分散しやすくなりますが、市場全体へ投資するインデックスファンドと比べると、構成銘柄や業種に偏りが生じることはあります。
高利回りの裏に減配や株価下落のリスクがある
配当利回りは、一般に「1株当たりの年間配当金÷株価」で計算されます。
そのため、業績悪化への懸念から株価が大きく下がった結果、見かけ上の配当利回りだけが高くなっている場合もあります。
現在の利回りが高くても、減配されれば受取額は減ります。無理な配当を続ける企業であれば、将来の成長投資に回せる資金が減っている可能性もあります。
「高利回りだから割安」とは限らない点には注意が必要です。
配当金を再投資するとNISAの年間投資枠を使う
資産形成期に配当金を使わないのであれば、受け取った配当金を再び投資することになります。
しかし、受け取った配当金で株式や投資信託を買い直せば、新たな買付けとしてNISAの年間投資枠を使います。
一方、分配金を原則として出さないインデックスファンドなら、組み入れ企業から受け取った配当をファンド内で再投資できます。投資家がその都度買い直す必要がなく、資産形成を続けやすい仕組みです。
NISAでは損失を他の利益と相殺できない
日本証券業協会のNISAに関するFAQにあるとおり、NISAで生じた売却損は、課税口座の売却益や配当金との損益通算ができません。損失の繰越控除も利用できません。
これはインデックス投資にも共通する注意点ですが、少数の高配当株へ集中して大きな損失が出た場合には、より影響を感じやすくなります。
外国株の配当には現地課税が残ることがある
NISAで米国株を保有する場合、売却益には原則として日本の税金がかかりません。一方、配当金には米国で原則10%の税金がかかります。
NISAでは日本側の配当課税がないため、この米国課税分について外国税額控除を受けることもできません。米国株などへ投資する場合は、外国株の配当と外国税額控除の扱いも確認しておきたいところです。
外国の高配当株やETFを選ぶ場合は、「NISAなら配当に一切税金がかからない」とは限らないことも知っておきましょう。
私がインデックス投資を選ぶ3つの理由
幅広く分散しながら市場全体の成長を取り込める
S&P500や全世界株式などに連動するインデックスファンドなら、1本で多くの企業へ分散できます。
成長企業だけを自分で見つける必要はありません。時価総額加重型の指数では、成長して時価総額が大きくなった企業の比率が上がり、相対的に小さくなった企業の比率は下がっていきます。
特定の高配当銘柄に集中せず、市場全体の成長を取り込めることが、私にとって大きな魅力です。
配当をファンド内で再投資しやすい
資産形成期には、受け取った利益を使わず、再投資に回すことで複利効果を期待できます。
分配金を原則として出さない低コストのインデックスファンドなら、配当をファンド内で運用し続けられます。自分で再投資の注文を出す必要もなく、現金のまま放置してしまうことも防げます。
高配当株でも配当を再投資すれば複利効果は得られます。ただ、資産を増やしている途中なら、最初から自動的に再投資されやすい仕組みの方が、私には合っています。
必要なときに必要な分だけ売却できる
「高配当株は売らなくても現金が入るから安心」という考え方には、私も納得できる部分があります。
ただし、配当金も企業の資産から支払われる以上、経済的には資産の一部を現金で受け取っていると考えられます。
インデックス投資でも、必要なときに必要な金額だけ売却すれば、自分で配当のようなキャッシュフローを作れます。
- 使わない年は売却しない
- 少しだけ必要なら少額を売却する
- 大きな支出がある年だけ売却額を増やす
このように、受取額とタイミングを自分で決められる柔軟性を、私は重視しています。
新NISAでは、商品を売却すると、その商品の取得金額分の非課税保有限度額が翌年以降に復活します。売却した時価ではなく取得金額分であり、その年の年間投資枠がすぐ戻るわけではありませんが、以前のNISAよりも取り崩しやすい制度になっています。
NISAで高配当投資はやめたほうがいい?
結論として、NISAで高配当投資をすること自体は、決して悪い選択ではありません。
次のような人には、高配当投資が合う可能性があります。
- すでに十分な資産があり、定期収入を得たい人
- 配当金を生活費や趣味に使いたい人
- 自分で資産を売却することに強い抵抗がある人
- 個別企業の業績や減配リスクを確認できる人
- 配当が投資を続けるモチベーションになる人
一方、次のような人にはインデックス投資が向いていると私は考えています。
- これから長期で資産を増やしたい人
- 幅広く分散したい人
- 銘柄選びや業績確認に時間をかけたくない人
- 配当を今すぐ使う予定がない人
- 必要になったときだけ資産を取り崩したい人
よく「資産形成期はインデックス投資、退職後は高配当投資」と分けて考えられますが、必ずしも退職時にすべてを高配当株へ乗り換える必要はありません。
退職後もインデックスファンドを保有し、定期売却で生活費を作る方法があります。反対に、資産形成期でも配当金があることで投資を継続しやすいなら、資産の一部を高配当株に振り分ける考え方もあります。
どちらか一方に決める必要はなく、インデックス投資を中心にしながら、高配当投資を一部組み合わせることもできます。
まとめ|配当利回りではなく目的とトータルリターンで選ぶ
インデックス投資と高配当投資には、それぞれ異なる魅力があります。
高配当投資は、定期的な収入を得られ、資産を売却する判断をしなくても現金が入ることがメリットです。NISAを使えば、一定の条件のもとで国内の配当課税も避けられます。
一方、これから資産を増やすことを優先するなら、私は低コストのインデックス投資を選びます。
理由は、次の3つです。
- 幅広く分散しながら市場全体の成長を取り込める
- 配当をファンド内で再投資しやすい
- 必要なときに必要な金額だけ売却できる
配当金は魅力的ですが、配当が多いだけで投資のリターンが高くなるわけではありません。
大切なのは、「配当がいくら入るか」だけではなく、値上がり益と配当を合わせたトータルリターン、分散、税金、手間、そして自分が今どのような目的で投資しているかを考えることです。
私は今、投資から定期収入を得ることよりも、長期で資産全体を成長させることを優先しています。そのため、NISAでもインデックス投資を中心に続けていきます。
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※本記事は特定の金融商品への投資を勧めるものではありません。投資には元本割れの可能性があります。制度や税務の詳細は、金融庁、税務署、利用している金融機関などで最新情報をご確認ください。



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