JALと大韓航空が戦略的提携へ|何が変わる?ANA・スターアライアンスへの影響も解説

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2026年9月3日、JAL(日本航空)と大韓航空は、戦略的パートナーシップに関する覚書を締結したと発表しました。

今回の発表で重要なのは、単に日韓線のコードシェアを増やすという話ではありません。2026年12月17日に予定されている大韓航空とアシアナ航空の統合を見据え、JALが「統合後の大韓航空」と関係を深めるための提携と考えられます。

では、JALと大韓航空は何を目的としているのでしょうか。利用者にとって何が変わり、ANAやスターアライアンスにはどのような影響があるのかを整理します。

JALと大韓航空が戦略的パートナーシップを発表

JALと大韓航空は、これまでも日本―韓国線を中心にコードシェアやマイレージ提携を行ってきました。

今回の戦略的パートナーシップでは、この既存提携をさらに拡大し、アシアナ航空との統合によって大韓航空が引き継ぐ路線や便にも、コードシェアやマイレージ提携を広げる方針です。

JALの発表で示された主な内容は、次の2点です。

分野 発表された内容
既存提携の拡大 コードシェアやマイレージ提携を、アシアナ航空との統合に伴う運航便まで拡大・拡充
新たな協業 航空分野のサステナビリティなど、従来の旅客輸送にとどまらない分野でも協力

ただし、2026年9月時点では、新たにコードシェアの対象となる路線や開始日、JALマイルの積算率、特典航空券の利用条件などは発表されていません。

そのため、今回の発表は具体的なサービス開始のお知らせというより、両社が今後の協業方針を示した「基本合意」に近いものです。

今回の提携は何を目的としているのか

統合後の大韓航空ネットワークをJALが活用するため

最大の目的は、大韓航空とアシアナ航空の統合によって生まれる巨大なネットワークを、JALの販売網に取り込むことだと考えられます。

大韓航空は仁川国際空港を拠点に、アジア、北米、ヨーロッパなどへ幅広い路線を持っています。ここにアシアナ航空の路線や発着枠が加われば、韓国国内だけでなく、仁川経由で世界各地へ向かう選択肢も増えます。

JALがすべての都市へ自社便を飛ばすことはできません。そこで大韓航空とのコードシェアを広げれば、自社で新たに機材や乗務員を用意しなくても、JAL便名で販売できる路線を増やせます。

日本各地と韓国を結ぶ路線を確保するため

大韓航空とアシアナ航空は、東京や大阪だけでなく、日本の地方空港と韓国を結ぶ路線も運航してきました。

JALにとっては、大韓航空の日本路線にJAL便名を付けて販売することで、自社便がない地方空港からソウルへ向かう需要も取り込めます。

また、JAL国内線と大韓航空の国際線を組み合わせれば、日本各地から羽田・成田・関西などを経由して韓国やその先へ向かう旅程も販売しやすくなります。

ANAとアシアナ航空の提携終了で生まれる空白を取り込むため

ANAとアシアナ航空は、ともにスターアライアンスへ加盟し、長年にわたりコードシェアやマイレージで協力してきました。

しかし、アシアナ航空は2026年12月に大韓航空へ吸収され、会社とブランドが消滅する予定です。ANAも、アシアナ航空とのマイレージ提携を2026年12月16日で終了すると発表しています。

これはJALにとって、これまでANAと結びつきの強かったアシアナ航空の路線や利用者を取り込む機会になります。

今回の提携は、韓国市場でのANA陣営の弱体化を見越し、JALが統合後の大韓航空との関係を先に固めた動きとも読み取れます。

利用者にとって何が変わるのか

JALから予約できる韓国便が増える可能性

アシアナ航空が運航してきた路線にも提携が広がれば、JAL公式サイトや旅行会社で「JL便名」として予約できる日韓便が増える可能性があります。

特に、JALが自社便を運航していない日本の地方空港―韓国線が対象になれば、利用者の選択肢は大きく広がります。

ただし、対象路線はまだ発表されていません。アシアナ航空の全路線がそのままJALとのコードシェア対象になると決まったわけではない点には注意が必要です。

JALマイルをためる・使う機会が増える可能性

現在もJALと大韓航空はマイレージ提携を行っていますが、対象は限定的です。

JALマイレージバンクで大韓航空の特典航空券を利用できるのは、原則として両社がコードシェアする日本―韓国線です。また、大韓航空便でJALマイルをためる場合も対象路線や予約クラスに条件があり、FLY ON ポイントは積算されません。

今回、マイレージ提携が旧アシアナ航空の運航便まで拡充されれば、JALマイルをためたり、特典航空券に交換したりできる路線が増える可能性があります。

一方で、対象路線、必要マイル数、予約クラス、FLY ON ポイント、JAL Life Status ポイントの扱いなどは未発表です。「大韓航空の全路線でJALマイルが自由に使えるようになる」とまでは、現時点ではいえません。

仁川経由の乗り継ぎが使いやすくなる可能性

大韓航空の最大の強みは、仁川国際空港をハブとする国際線ネットワークです。

提携が日韓線だけでなく仁川以遠の路線まで広がれば、JAL利用者が日本から仁川を経由し、東南アジア、中央アジア、ヨーロッパ、北米などへ向かう旅程を組みやすくなる可能性があります。

ただし、JALの発表は「KEの広大なネットワークを生かす」としているものの、仁川以遠のどの路線までコードシェアやマイレージ提携を広げるかは明らかにしていません。ここは今後の発表で最も注目したい部分です。

利用者にとってのメリット

日韓線の時間帯や出発空港の選択肢が増える

JAL自社便に大韓航空の便が加われば、同じJALの予約窓口から選べる便数や時間帯が増えます。地方空港発の韓国旅行でも、JALとの接点が広がる可能性があります。

予約や乗り継ぎをまとめやすくなる

コードシェアや連携が強化されれば、複数区間を一つの航空券として購入しやすくなります。手荷物の最終目的地までの預け入れや、欠航・遅延時の振り替えでも、別々に航空券を買うより扱いやすくなることが期待されます。

なお、具体的な手荷物や乗り継ぎの扱いは、実際の航空券と運航会社によって異なります。

JALマイルの利用先が広がる可能性がある

旧アシアナ航空の路線がJMB提携の対象に加われば、これまでより多くの日韓路線でJALマイルを使える可能性があります。JAL便がない地方空港の利用者にとっては、特にメリットが大きくなりそうです。

JALが自社便を増やさずネットワークを拡大できる

これはJAL側のメリットですが、結果として利用者にも影響します。コードシェアであれば、JALは新たな機材を投入しなくても販売路線を増やせます。

需要が限られる地方路線でも提携によって維持しやすくなれば、日本と韓国を結ぶネットワークの安定につながります。

考えられるデメリットと注意点

「JAL便名」でも実際のサービスは大韓航空

コードシェア便をJL便名で購入しても、運航会社が大韓航空であれば、機材、客室乗務員、機内食、座席、機内サービスなどは原則として大韓航空の基準になります。

JAL便名だからJALの機材やサービスを受けられるわけではありません。予約時には「運航会社」の表示を確認する必要があります。

JGCやワンワールドの特典が自動的に使えるとは限らない

JALはワンワールド、大韓航空はスカイチームの加盟会社です。今回の戦略的提携は2社間の提携であり、大韓航空がワンワールドへ加盟するという発表ではありません。

そのため、大韓航空便に乗るだけで、ワンワールド・サファイアやエメラルドのラウンジ、優先搭乗、追加手荷物などが一律に適用されるわけではありません。

JL便名で予約した場合にJGC会員向けサービスがどこまで提供されるかは、路線や航空券の条件ごとに確認する必要があります。

マイルやステータスの条件が複雑になりやすい

コードシェア便は、どの航空会社の便名で購入したか、どの会社が実際に運航するか、予約クラスが何かによって、マイル積算の可否が変わります。

現在のJALと大韓航空の提携でも、大韓航空便の利用はJALマイルの対象になっても、FLY ON ポイントの対象外です。提携拡大後も、マイル、FLY ON ポイント、Life Status ポイントが同じように扱われるとは限りません。

日韓線の競争が弱まる可能性

大韓航空とアシアナ航空の統合は、韓国の大手フルサービスキャリア2社が1社になることを意味します。

JALとの提携そのものが競争をなくすわけではありませんが、大韓航空グループへの路線や発着枠の集中が進めば、一部路線では航空会社同士の競争が弱まり、運賃や便数の面で利用者に不利になる可能性もあります。

一方、日本―韓国線にはLCCも多数就航しています。実際の競争環境は、路線ごとのLCCを含めて見る必要があります。

今回の発表だけでは具体策が見えない

現時点で決まっているのは、提携を深める方針です。対象路線、開始時期、運賃、マイレージ、ラウンジ、手荷物、予約システムなど、利用者が知りたい具体的な内容は今後発表されます。

したがって、すぐに予約方法やマイルの使い方が変わるわけではありません。

ANAへの影響

ANAにとって最も大きいのは、長年の提携相手だったアシアナ航空がなくなることです。

ANAはアシアナ航空とのマイレージ提携について、次の終了日を発表しています。

サービス 終了時期
アシアナ便搭乗によるANAマイル積算 2026年10月15日搭乗分まで
マイル事後登録 2026年10月31日Web受付分まで
アシアナ便を利用する特典航空券 2026年12月16日搭乗分まで
スターアライアンス・アップグレード特典 2026年12月16日搭乗分まで
ANAプレミアムメンバー向けサービス 2026年12月16日まで

これまでSFC会員やANA上級会員は、アシアナ航空を利用する際にスターアライアンス・ゴールドの特典を受けられました。しかし、アシアナ航空が大韓航空へ統合された後、大韓航空便で同じ特典を受けられるとは限りません。

大韓航空はスカイチームの創設メンバーであり、現時点でANAとの新たな提携は発表されていません。そのため、韓国路線ではJALのほうが統合後の大韓航空と強い販売・マイレージ関係を持つ形になる可能性があります。

ただし、ANA自社の日韓便がなくなるわけではありません。ANAは自社便を運航できますし、今後ほかの韓国系航空会社と個別提携を結ぶ可能性もあります。

スターアライアンスへの影響

アシアナ航空はスターアライアンスに加盟していますが、大韓航空への吸収後は独立した航空会社として存続しません。

その結果、スターアライアンスは韓国を本拠地とする加盟航空会社を失うことになります。仁川を拠点とするアシアナ航空のネットワークが外れるため、スターアライアンスにとっては東アジアのネットワーク上の痛手です。

もっとも、スターアライアンス加盟会社のANA、ユナイテッド航空、シンガポール航空、タイ国際航空、エバー航空、中国国際航空などは引き続き韓国へ就航できます。韓国へ行けなくなるわけではなく、「韓国を拠点に乗り継ぎ便を展開する自前の加盟会社がなくなる」という意味です。

ワンワールドとスカイチームへの影響

JALはワンワールド、大韓航空はスカイチームに加盟しています。今回の提携は、航空連合の枠を越えた2社間の協力です。

したがって、次のような変更が決まったわけではありません。

  • 大韓航空がワンワールドへ移籍する
  • JALがスカイチームへ移籍する
  • JGC会員が大韓航空の全便でワンワールド特典を使える
  • スカイパス上級会員がJALの全便でスカイチーム特典を使える

一方で、JALが大韓航空のネットワークを広く販売できるようになれば、実質的にはワンワールド系のJAL利用者が、スカイチームの主要ハブである仁川へアクセスしやすくなります。

スカイチーム側から見ても、大韓航空は日本国内に強い販売網を持つJALと組むことで、日本各地から仁川へ利用者を集めやすくなります。両社にとって、所属アライアンスだけでは補えない部分を埋める提携といえます。

JALと大韓航空の提携で今後注目したい点

今後は、次の内容に注目です。

  • 旧アシアナ航空のどの日本路線にJL便名が付くのか
  • 仁川以遠の国際線までコードシェアが広がるのか
  • JALマイルをためられる対象路線と予約クラス
  • JALマイルで予約できる特典航空券の対象地域
  • JGC・JMB上級会員向けのラウンジや優先サービス
  • FLY ON ポイントとLife Status ポイントの扱い
  • 手荷物の通し預けや乗り継ぎ時の取り扱い
  • 統合に伴う路線整理や減便の有無

特にJALマイラーにとっては、現在は日本―韓国線に限られている大韓航空特典航空券が、仁川以遠の国際線まで広がるかどうかが大きな注目点です。

まとめ

JALと大韓航空の戦略的パートナーシップは、2026年12月17日に予定される大韓航空とアシアナ航空の統合を見据えた動きです。

JALは、統合によって拡大する大韓航空の日本・韓国・国際線ネットワークを活用し、自社便を増やさずに利用者の選択肢を広げようとしています。大韓航空にとっても、JALの日本国内線や販売網から仁川へ利用者を集められるメリットがあります。

利用者には、日韓線の便数や出発空港の選択肢が増え、JALマイルを利用できる路線が広がる可能性があります。一方、JGCやワンワールドの特典が大韓航空便で自動的に使えるわけではなく、マイルやステータスの条件が複雑になる点には注意が必要です。

ANAとスターアライアンスにとっては、アシアナ航空という韓国の有力パートナーを失うことになります。その空白をJALが統合後の大韓航空との提携で取り込もうとしている点が、今回の発表で最も重要なポイントではないでしょうか。

現段階では基本方針の発表にとどまっているため、対象路線やマイレージ、上級会員向けサービスなどの詳細発表を待つ必要があります。

参考資料

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