先日、日米協調による円安是正の可能性が報じられました。
もし報道どおりであれば、日本だけでなくアメリカも、現在の急激な円安を問題視していることになります。
このニュースを見て、正直複雑な気持ちになりました。
私は以前、「円安でもS&P500への積立投資は続けるべき」という記事を書きました。
為替は誰にも予測できず、長期では企業の成長の方が投資成果に与える影響が大きいと考えているからです。
その考えは、今回のニュースを見ても変わっていません。
ただ、ここまで円安の中で積み立てを続けてきた人ほど、
「今さら円高になるの?」
と思ってしまうのも自然な感情ではないでしょうか。
今回は、このニュースの背景と、長期投資家としてどう向き合うべきかを考えてみます。
なぜ日本は円安を是正しようとしているのか
「円安は輸出企業に有利だから、そのままでいいのでは?」
そう思う人もいるかもしれません。
しかし、日本政府が問題視しているのは『行き過ぎた円安』です。
家計への負担が大きくなる
日本はエネルギーや食料を海外から多く輸入しています。
円安になると、
- ガソリン
- 電気・ガス料金
- 食料品
- 日用品
など、生活に欠かせないものの価格が上昇しやすくなります。
企業も原材料費が上昇し、その負担は最終的に私たち消費者が負うことになります。
投機による急激な円安を防ぎたい
政府が問題視しているのは、経済の実態以上に投機マネーによって急激に円安が進むことです。
短期間で為替が大きく動くと、
- 企業は価格を決めにくい
- 設備投資を判断しにくい
- 将来の経営計画を立てにくい
など、日本経済全体にも影響が及びます。
そのため、日本政府が目指しているのは「円高」ではなく、安定した為替相場なのです。
なぜアメリカも円安を是正したいのか
「円安は日本の問題なのに、なぜアメリカまで協力するの?」
そう思う人も多いでしょう。
アメリカにも、行き過ぎた円安を望まない理由があります。
世界の金融市場を安定させたい
急激な為替変動は、
- 株式市場
- 債券市場
- 世界中の企業活動
に影響を与えます。
世界経済の中心であるアメリカにとって、市場の安定は非常に重要です。
投機的な円売りを抑えたい
今回の報道でも「投機的な円売り」が問題視されています。
実体経済とは関係なく相場が大きく動けば、市場全体の信頼性にも影響します。
そのため、過度な値動きを抑えたいという狙いがあります。
アメリカ製品が売れにくくなる
極端な円安になると、日本から見るアメリカ製品は値上がりします。
例えば、
- アメリカ車
- 農産物
- 工業製品
- IT機器
などは、日本市場で価格競争力が低下し、売れにくくなる可能性があります。
一方、日本製品はドル換算で安くなるため、アメリカ市場で競争力が高まりやすくなります。
つまり、極端な円安はアメリカ企業や貿易面でもマイナスに働くことがあるのです。
円高になると金利はどうなる?
為替と金利は密接に関係しています。
円安になると輸入物価が上昇し、日本国内ではインフレ圧力が高まります。
その結果、日本銀行は物価を抑えるために利上げを行いやすくなります。
つまり、
円安 → 輸入物価上昇 → インフレ → 利上げ圧力
という流れです。
反対に円高になれば輸入物価は落ち着きやすくなり、追加利上げを急ぐ必要性は小さくなる可能性があります。
ただし、金利は景気や賃金なども含めて判断されるため、為替だけで決まるものではありません。
円高になるとNISAは損なのか?
短期的には、円高になると円建ての資産評価額は下がります。
例えば、S&P500がドル建てでは変わらず、ドル円だけが160円から140円へ動いた場合、
| ドル円 | 円建て評価額(160円時点で1,000万円の場合) | 160円比 |
|---|---|---|
| 160円 | 1,000万円 | ±0% |
| 155円 | 約969万円 | -3.1% |
| 150円 | 約938万円 | -6.3% |
| 145円 | 約906万円 | -9.4% |
| 140円 | 約875万円 | -12.5% |
これは、為替だけが変動した場合のシミュレーションです。
実際には株価も同時に動きます。
例えば、S&P500が20%上昇し、ドル円が160円から140円になれば、
円建てでは約5%プラスになります。
つまり、長期投資では為替だけではなく、企業の成長も非常に重要なのです。
それでも私が投資を続ける理由
今回のニュースを見て、
「ここまで円安の中で積み立ててきたのに……」
そう感じたのは事実です。
もし今後円高が進めば、一時的に資産評価額が下がる場面もあるでしょう。
だからといって、私は投資方針を変えるつもりはありません。
以前の記事でも書いたように、私は為替を予測する自信がありません。
「円高になったら買う」
「円安だからやめておく」
そうした判断を続けても、思いどおりになるとは限りません。
それよりも、
世界中の企業が利益を伸ばし、経済が成長していくことに期待して、長く市場に居続ける方が合理的だと考えています。
私はドルを買っているのではありません。
世界中の優良企業の成長に投資している。
その考えは、今回のニュースを見ても変わりません。
まとめ
今回の報道を見て、不安になった人も多いと思います。
特に、円安の中でコツコツ積み立てを続けてきた人ほど、複雑な気持ちになったのではないでしょうか。
しかし、仮に日米が協調して動いているとしても、その目的は「円高を目指すこと」ではなく、「過度な円安を是正し、市場を安定させること」にあると考えられます。
そして、円高は短期的に資産評価額へ影響する可能性がありますが、それだけで長期投資の成果が決まるわけではありません。
私はこれからも、為替を予測しようとは思いません。
ニュースに一喜一憂するのではなく、世界経済の成長を信じて積立投資を続けていく。
それが、今も変わらない私の考えです。
※免責事項
本記事は筆者個人の考えをまとめたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。


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